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間接照明(コーブ・コーニス)|「ホテルライク」の裏側は「埃」と「施工精度」の戦い

2025-12-25 10:49

間接照明は「天井と壁の凹凸」を照らすものである。

結論:下地処理(パテ埋め)が雑だと、壁のボコボコが強調されて逆に安っぽくなる。そして、 「掃除用コンセント」 を高い位置に作らないと、そこは 埃の巣窟 になる。

「ホテルライクな寝室にしたい」「リビングをおしゃれに演出したい」という理由で、天井や壁を照らす間接照明(建築化照明)を取り入れる人が増えています。しかし、光のグラデーションは美しさだけでなく、施工の粗(アラ)や埃の存在も浮き彫りにします。「思ったより暗くて、結局シーリングライトをつけて生活している」という失敗例も少なくありません。間接照明を成功させるには、光の効果だけでなく、メンテナンス性と施工精度への配慮が不可欠です。

判断基準:あなたの間接照明計画は「美観」と「掃除」を両立できるか?

間接照明があなたの生活を豊かにするかどうかは、埃対策と明るさへの理解にかかっています。

0. まず "掃除ルート" を確保したか

天井を照らす「コーブ照明」などは、構造上どうしても埃が溜まります。

  • 埃溜まり :天井を折り上げて照明器具を隠すスペースは、埃にとって最高の安住の地です。脚立なしで掃除できますか? ハンディモップが届きますか? 掃除できない場所は、数年後には埃の塊になります。
  • 掃除用電源 :高い位置の埃を吸い取るために、ハンディ掃除機を持って上がるか、脚立に乗ることになります。近くにコンセントがないと掃除が億劫になります。
  • 光源の目隠し :寝転がった時やソファに座った時に、LED器具の粒々(光源)が直接見えてしまうと、一気に興醒めします。器具を隠す「幕板(まくいた)」の高さを、視線を計算して設定する必要があります。

1. 施工精度 の罠(壁のボコボコ)

間接照明は、壁や天井の表面を舐めるように光を当てます。

  • 不陸(ふりく)の強調:壁を上から照らす「コーニス照明」などを設置すると、クロスの継ぎ目や、下地(石膏ボード)のパテ処理の凹凸が影となってくっきりと浮かび上がります。職人の腕が試される部分です。美しく仕上げるには、パテ処理を念入りに行うか、クロスではなく「塗装」や「塗り壁」を採用する方が無難です。
  • 窓への映り込み:夜、カーテンを開けた時に、窓ガラスに照明器具が映り込んでしまうと、せっかくの雰囲気が台無しです。

2. 明るさ不足(雰囲気 vs 実用)

間接照明は壁や天井に光を当てて反射させるため、直接照明よりも光の効率が悪くなります。

  • ルーメン計算:メイン照明として使うには、かなりの光量が必要です。「勉強」や「裁縫」などの細かい作業には絶対に向きません。ダウンライトやスタンドライトなどの補助照明(タスクライト)を必ず併用しましょう。
  • 色温度:間接照明は「電球色(オレンジ)」が基本です。昼白色(白い光)にすると、オフィスのような冷たい雰囲気になり、リラックスできません。

3. 失敗パターンを先に潰せているか

  • 「エアコンと干渉」:天井を折り上げたスペースにエアコンを設置すると、風が遮られたり、照明のラインが途切れてしまったりします。エアコンの位置と照明計画はセットで考えましょう。
  • 「虫が入る」:夏場、照明の隙間に虫が入って死んでしまうことがあります。掃除しにくい構造だと、虫の死骸の影が天井に映るホラーな状態になります。
  • 「ただの棚になる」:高い位置のコーブ照明部分に、「Wi-Fiルーター」などを置いてしまいがちです。置いた物の影が天井に伸びて、見た目が悪くなります。

最短の手順:後悔しないためのロードマップ

  1. 「置き型」から試す:建築化照明(造作工事)は費用も高く、やり直しが効きません。まずは「フロアスタンド」や、家具の裏に「バーライト」を置くなどして、間接照明のある暮らしをシミュレーションしてみましょう。
  2. 施工指示:工務店に「間接照明を入れる壁は、クロス下地のパテ処理を念入りにお願いします」と伝えます。追加料金を払ってでもやる価値はあります。
  3. 調光機能:雰囲気を調整するために、調光スイッチは必須です。映画を見る時は暗く、食事の時は明るくなど、シーンに合わせられるようにしましょう。

ページ内で扱う基礎情報(判断に必要な最小限)

手法の違い

  • コーブ照明:天井を照らす手法。天井が高く見え、開放感が出ます。寝室やリビングに向いています。
  • コーニス照明:壁を照らす手法。壁の質感を強調し、空間に広がりを感じさせます。アクセントウォールと相性が良いです。
  • バランス照明:壁の上下を照らす手法。ホテルの洗面所などでよく見られます。

末尾:リンク集(出典+事例)

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