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ランドリールームの理想と現実|「洗濯動線」を極めるつもりが「カビ部屋」にならないために

2025-12-25 13:49

「洗濯する・干す・畳む・しまう」を一部屋で完結させたい。 共働き世帯の増加とともに、新築間取りのトレンド入りした 「ランドリールーム」 。インスタグラムで見かける真っ白で整然としたランドリールームは、まさに家事の城です。

しかし、現実は甘くありません。 「湿気で部屋中がかび臭い」「結局リビングに洗濯物の山ができている」「ただの物置になった」 そんな悲鳴が聞こえてくる場所でもあります。

この記事では、ランドリールームを作って 「家事が劇的に楽になる人」 と、 「高いお金を払って後悔する人」 の違いを解説します。

結論:価値は「広さ」ではなく「完結力」で決まる

まず結論から言います。 ランドリールームの成功条件は、 「その場で全てが完結すること」 です。

  • 洗う (洗濯機)
  • 乾かす (乾燥機・除湿機)
  • しまう (隣接する収納)

この3つが揃っていないなら、わざわざ専用の部屋を作る意味はありません。 特に重要なのが 「しまう場所」 です。ランドリールームで乾かした服を、畳んでカゴに入れ、それを抱えて各個室へ配り歩く…。この「運搬作業」が発生するなら、ランドリールームはただの 「隔離された干し場」 に過ぎません。


失敗しないための「乾くシステム」設計

ランドリールーム最大の敵は 「湿気」 です。 濡れた洗濯物からは、数リットルもの水分が放出されます。これを処理できなければ、部屋はサウナ状態になり、クロスは剥がれ、生乾き臭が染み付きます。

1. 「窓を開ければ乾く」は幻想

「窓を2箇所つけて風通しを良くすれば…」というのは、晴れた日の昼間しか通用しません。 共働き世帯が洗濯するのは、主に 「夜」「雨の日」 です。自然換気に頼る設計は、ランドリールームにおいては自殺行為です。

2. 除湿機とサーキュレーターは「住人」

室内干しメインなら、 「除湿機」「サーキュレーター」 は、その部屋の住人として定位置を与える必要があります。

  • コンセント位置:床にコードが這わないよう、高い位置や棚の中にコンセントを計画する。
  • 排水:除湿機のタンク水捨ては地味に面倒。可能なら「連続排水」用のホースを繋げる計画にする。

3. 最強の時短設備「乾太くん」

もし「干す作業」そのものをなくしたいなら、ランドリールームを広くする予算(1畳あたり30〜50万円)を削ってでも、ガス衣類乾燥機 「乾太くん」 を導入すべきです。 「洗ってすぐ乾く」なら、そもそも干すための広大なスペースは不要になります。


動線の落とし穴(魔の移動距離)

1. ファミリークローゼットとの連結

ランドリールームの正解配置は、 「ファミリークローゼット(FamiClo)の真横」 です。 乾いた服をハンガーのまま、スライド移動で隣の部屋(収納)へ移す。これができて初めて「家事動線が良い」と言えます。 廊下を挟んでいたり、ドアを開け閉めする必要があるだけで、洗濯物はランドリールームに滞留し始めます。

2. キッチンからの距離

「料理しながら洗濯」というマルチタスク派には、キッチン横の配置が人気です。 しかし、料理のニオイが洗濯物に移るリスクや、油煙が回るリスクもあります。扉でしっかり区切れるようにするか、強力な換気計画が必要です。


よくある失敗パターンと対策

失敗1:スロップシンクが「汚水溜まり」に

「靴や雑巾を洗うのに便利そう」とつけたSK(スロップシンク)。 実際は、深くて掃除しにくいため汚れが溜まりやすく、水跳ねで周りのクロスがカビる原因になります。「週に1回は必ず上履きを洗う」など明確な用途がない限り、洗面台で代用するか、浴室で洗う運用で十分です。

失敗2:アイロンカウンターが「物置」に

「ここでアイロンがけも畳む作業も!」と造作したカウンター。 現実は、取り込んだ洗濯物の山置き場になり、アイロンなんてかけるスペースはありません。カウンター下を収納にするなど、 「一時置き場」 としての機能をメインに考えるべきです。

失敗3:広すぎて寒い

脱衣所と兼用にする場合、部屋が広くなると冬場は寒くなります。ヒートショック対策として、暖房器具(セラミックヒーターなど)を置くスペースとコンセントを忘れないでください。


導入へのチェックリスト

  • 洗濯物の量:4人家族なら、毎日約6kgの洗濯物が出ます。これを干すにはハンガーパイプが最低2m必要です。足りますか?
  • 乾燥手段:自然乾燥ではなく、除湿機・浴室乾燥・乾太くんのどれをメインにするか決めましたか?
  • 収納計画:乾いた服を「誰が」「どこに」しまうか、シミュレーションしましたか?

リンク集:判断のための材料

1. 設備・ツール

2. 参考イメージ