屋根裏収納・ロフト|「ハシゴ」で登る収納は、一度入れたら二度と出さない
Tue Dec 23 2025 00:00:00 GMT+0000 (Coordinated Universal Time)
屋根裏は「家のサウナ」であり、ハシゴは「危険なアスレチック」である。
建ぺい率や容積率に含まれない「ボーナス空間」として提案される屋根裏収納(グルニエ)やロフト。「収納は多いほうがいい」と安易に採用しがちですが、そこは家の中で最も環境が悪く、使い勝手の悪い場所です。
特に、アクセス方法が「ハシゴ」である場合、その収納は99%活用されません。
結論:固定階段で上がれない屋根裏収納は作るな。ハシゴを持って重い荷物を上げ下げするのは、若いうちでも危険だし面倒くさい。夏は50℃を超えるため、大切なものを置くと劣化する。
両手が塞がった状態で、急なハシゴを登り降りする恐怖。想像してみてください。重い扇風機や、雛人形の入ったダンボールを持って、垂直に近いハシゴを降りることができますか?
判断基準:そこに「何を」「どうやって」運ぶのか?
1. アクセス方法:階段か、ハシゴか
- 固定階段(推奨) :普通の階段で上がれるなら、そこは「部屋」として使えます。掃除機もかけやすく、荷物の出し入れも安全です。ただし、自治体の条例によっては固定階段が認められない場合があります。
- 収納はしご(非推奨) :天井から棒で引っ張り出すタイプ。出すのが面倒、しまうのも面倒、登るのが怖い。結局「開かずの間」になります。
2. 温熱環境:灼熱地獄への対策
屋根の直下にある空間は、夏場は瓦からの熱気で50℃〜60℃になります。
- 断熱不足 :屋根断熱が不十分だと、置いてあるプラスチック製品(CDやおもちゃ)が熱で変形したり、漫画本が変色したりします。
- 換気 :熱気を逃がすための窓や、換気ファンの設置が必須です。できればエアコンも欲しいところです。
3. 天井高の制限
- 140cmの壁 :建築基準法上、床面積に算入されないためには、天井高を1.4m以下にする必要があります。大人は直立できず、腰を曲げて歩くことになります(中腰姿勢)。掃除や整理整頓をする際、この姿勢は腰に強烈な負担をかけます。
典型的な失敗:初心者がハマる落とし穴
- 「子供部屋ロフト」
「秘密基地みたいで子供が喜ぶ」と子供部屋にロフトを作りますが、子供が成長すると「天井が低くて頭をぶつける」「夏暑くて寝られない」と言って使わなくなります。さらに、子供が病気になった時、高熱の子供をロフトから降ろしたり、看病したりするのは至難の業です。
- 「照明スイッチの罠」
ロフトに上がってから点ける位置にスイッチがあると、暗闇の中をハシゴで登ることになります。必ず下の階(ハシゴの手元)で点灯できるように配線すべきです。
最短の手順:後悔しないためのロードマップ
- 自治体の条例確認 「小屋裏収納に固定階段をつけても良いか」をハウスメーカー経由で役所に確認してもらいます。これがNGなら、屋根裏収納自体を諦めるか、軽いもの(季節の布団など)専用にする覚悟が必要です。
- 断熱グレードアップ 屋根断熱を強化(遮熱シートや厚めの断熱材)し、屋根裏専用の換気ファンを見積もりに加えます。
- 荷揚げテスト 今の家で、米袋(5kg〜10kg)を持って脚立を一番上まで登れるか試してみてください。怖いと感じたら、ハシゴ式収納はやめるべきです。