住宅ローン(変動vs固定)|「金利」だけで選ぶと、老後に家を失う
2025-12-25 13:20
住宅ローンは「借金」ではない。「人生のショートカット料」である。
「みんな変動金利を選んでいるから」。銀行の窓口でも、不動産屋の営業でも、変動金利を勧められます。なぜなら、見た目の返済額が安くなり、審査に通りやすく、高い家が売れるからです。しかし、35年後の世界を誰も保証してくれません。
結論:目先の「低金利(0.3%台)」に釣られて変動金利をフルローンで組むのは、将来の金利上昇リスクを全て自分が負うギャンブル。金利上昇に耐えられる資産(現金)がないなら、保険料だと思って「固定金利(フラット35)」を選ぶのが安全策。
「変動金利は低いまま推移する」というのは、過去のトレンドであって未来の約束ではありません。金利が1%上がれば、返済額は数万円跳ね上がります。その時、給料も同じように上がっていれば良いですが、スタグフレーション(不況下の物価高・金利高)になれば、生活は一瞬で破綻します。
判断基準:あなたは「金利上昇」に耐えられる資産家か?
1. 金利変動リスク:125%ルールの罠
多くの変動金利には「5年ルール(返済額は5年間変わらない)」と「125%ルール(見直し後の返済額は従来の125%まで)」があります。これは一見、借り手を守るルールのようで、実は 銀行を守るルール です。 金利が上がっても毎月の支払額が変わらないということは、その内訳(元金+利息)の中で 利息の割合が増え、元金が減らない ことを意味します。最悪の場合、支払額の全てが利息になり、さらに未払利息が溜まっていく「負の複利」状態になります。
2. 繰り上げ返済:現金こそ最強の盾
変動金利を選んでいいのは、「金利が上がった瞬間に、手持ちの現金で数百万円を繰り上げ返済して、借入残高を減らせる人」だけです。 「毎月の返済でカツカツ」という人が変動金利を選ぶのは、安全装置のないジェットコースターに乗るようなものです。
3. 団信(団体信用生命保険):隠れたコスト
「がんと診断されたらローンがゼロになる」。これは強力な保険ですが、金利が0.1〜0.2%上乗せされます。35年で換算すると、保険料として数百万円を支払うことになります。 民間の医療保険なら月数千円で済む保障内容に、数百万円を払う価値があるか、冷静に計算する必要があります。
典型的な失敗:初心者がハマる落とし穴
「借入可能額=返済可能額」の勘違い
銀行が貸してくれる金額(年収の7〜10倍)は、「銀行が利益を出せるギリギリの金額」であって、「あなたが余裕を持って返せる金額」ではありません。 一般的に、無理なく返せるのは年収の5〜6倍までと言われています。銀行のリミットまで借りると、教育費や老後資金が消え、修繕費も積み立てられなくなります。
「ボーナス払い」という時限爆弾
「月々の支払いを安くしたいから」とボーナス払いを併用するのは自殺行為です。 ボーナスは会社の業績に連動します。不景気でボーナスがカットされたり、転職したりした瞬間に、支払いが滞ります。住宅ローンは「毎月の給料」だけで返せる範囲に設定するのが鉄則です。
最短の手順:後悔しないためのロードマップ
1. ライフプラン表作成
家を買う前に、FP(ファイナンシャルプランナー)に依頼するか、自分でエクセルを使い、35年間の収支(教育費、老後資金、家の修繕費)をシミュレーションします。 「子供が大学に行く時期」と「役職定年で給料が下がる時期」が重なっても破綻しないか確認します。
2. モゲチェックで比較
銀行によって金利も団信も全く違います。不動産屋が提携している銀行(手続きが楽だが金利が高い場合がある)だけでなく、ネット銀行も含めて広く比較します。 住宅ローン比較サービス「モゲチェック」などを使えば、自分の属性(年収・勤続年数)で借りられる最も条件の良い銀行をランキングで教えてくれます。
3. 固定と変動のミックス
迷うなら「ミックスローン」という手もあります。借入額の半分を変動、半分を固定にすることで、金利上昇リスクを分散します。ただし、諸費用(手数料)が2本分かかる場合があるので注意が必要です。