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ヌック(Nook)の作り方|「最高の居場所」になるか「物置」になるかの境界線

2025-12-25 13:45

「階段下のデッドスペースを有効活用したい」 「窓辺にベンチを作って、読書しながらコーヒーを飲みたい」

SNSでよく見かける 「ヌック(Nook)」 。 こじんまりとした隠れ家のような空間は、注文住宅ならではの遊び心であり、憧れの対象です。

しかし、この「なんとなく良さそう」で作ったスペースが、入居後わずか数ヶ月で 「洗濯物の一時置き場」「ただの埃っぽい隙間」 になり果てるケースが後を絶ちません。

この記事では、ヌックを 「本当に使える居場所」 にするための具体的な設計条件と、失敗する理由を解説します。

結論:ヌックは「空間」ではなく「機能」である

まず結論です。 「1畳くらいのスペースがあればヌックになる」というのは間違いです。 ヌックとは場所のことではなく、 「そこで何をするか(機能)」 のことです。

  • 読書 をするなら、手元を照らす照明と背もたれが必要です。
  • スマホ をいじるなら、充電コンセントとWi-Fiが必要です。
  • 昼寝 をするなら、足を伸ばせる長さ(180cm〜)が必要です。

この「目的」がないまま、「余ったスペースをヌックにしよう」とすると、必ず失敗します。目的のない空間には、必ず 「モノ」 が集まってくるからです。


3大失敗パターンと対策

失敗1:「夏暑くて冬寒い」空調の死角

ヌックは壁に囲まれた奥まった場所に作られることが多く、エアコンの風が届きにくい 「空調のデッドゾーン」 になりがちです。

特に人気のある 「窓際ベンチ(ウィンドウシート)」 は要注意です。 窓辺は外気の影響を最も受けやすい場所。冬場は冷気(コールドドラフト)が降りてきて、寒くて座っていられません。 窓際ヌックを作るなら、 「トリプルガラス」「ハニカムシェード」 で窓の断熱を最強にするか、足元にパネルヒーター用のコンセントを用意する必要があります。

失敗2:ちょうどいい「物置」になる

小上がりのヌック(床から30〜40cm高い場所)は、人間が座るのにも適していますが、 「洗濯物を畳む前の一時置き」「カバンを置く」 のにも最適すぎる高さです。

一度モノを置くと、そこはもう居場所ではなくなります。 「モノを置かない」という強い意志を持つか、あるいは「モノを置いても座れる広さ(奥行き)」を確保するか、設計段階での対策が必要です。

失敗3:暗くて何もできない

「おこもり感」を出そうとして照明を暗くしすぎると、本も読めず、スマホも見づらい場所になります。 雰囲気重視の間接照明だけでなく、読書灯(ブラケットライト)や、角度を変えられるスポットライトを設置し、 「作業ができる明るさ」 を確保しましょう。


使えるヌックの「3種の神器」

ヌックを設計する際、以下の3つを必ず図面に書き込んでください。

  1. 専用照明:天井のダウンライトではなく、手元でON/OFFできるスイッチ付きのブラケットライトがベスト。
  2. コンセント:スマホ充電、iPad、あるいは冬場の電気毛布用。足元ではなく、座ったまま手の届く位置に。
  3. Wi-Fi:奥まった場所は電波が弱くなりがち。中継機やメッシュWi-Fiでカバーできるか確認を。

導入へのチェックリスト

  • サイズ感:実際にクローゼットやトイレに座ってみて、「自分が落ち着く狭さ」を体感しましたか?(広すぎると落ち着きません)
  • 掃除:ルンバが入れる段差ですか? あるいはハンディモップで掃除しやすい形状ですか?
  • 視線:そこに座った時、家族(リビング)と目が合うのが心地よいか、それとも隠れたいか、シミュレーションしましたか?

リンク集:判断のための材料

1. 参考イメージ

2. 失敗談