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施主支給|「安く買える」は幻想。トラブル時の責任は全て自分に

2025-12-25 14:43

施主支給は「プロの仕事」を素人が奪う行為である。

「ネットならこのキッチン、半額で売ってる!」。そう思って工務店に「施主支給(自分で買って持ち込むこと)したい」と申し出ると、営業マンや現場監督は渋い顔をします。 それは単に彼らの利益が減るからだけではありません。「責任の所在」が曖昧になり、トラブルの元凶になるからです。

結論:ペーパーホルダーやタオル掛けなど、構造に関わらない小物ならOK。しかし、キッチン、洗面台、照明、エアコンなどの設備機器をネットで安く買って支給するのはリスクが高すぎる。「取り付け費」が高くつき、結局安くならない上、故障した時にメーカーと工務店のたらい回しにされる。


判断基準:そのトラブルを自分で解決できるか?

1. 保証と責任:たらい回しの地獄

工務店が用意したモノ(材工共)なら、引き渡し後に不具合があれば工務店に電話一本で直してもらえます。 しかし、施主支給品が壊れていたり、部品が足りなかったりしても、工務店は「あなたが買ったものですよね?」と言って関知しません。 自分でメーカーに問い合わせ、交換品を手配し、その間の工事遅延の責任も負うことになります。

2. 水漏れリスク:最大の懸念

特に水回り(水栓、洗面ボウル、食洗機)の支給は危険です。 もし入居後に水漏れして床が腐った場合、原因が「施工ミス」なのか「器具の不良」なのかを巡って泥沼の争いになります。工務店は「器具が悪かった」と言い、メーカーは「施工が悪かった」と言います。被害者はあなたです。

3. コストの逆転:見えない費用

ネットの価格は安いですが、工務店は施主支給品に対して、通常の工事費とは別に「取付手間賃」を割高に設定することがあります(利益確保とリスクヘッジのため)。 また、巨大な梱包材(ダンボールや木枠)の処分は「施主の責任」として、自分で処理センターへ運ぶ羽目になることもあります。トータルで見ると、数万円しか変わらないのにリスクだけ背負うことになります。


典型的な失敗:初心者がハマる落とし穴

「配管が合わない」

おしゃれな海外製の洗面ボウルや水栓を買ったら、日本の排水管の規格(Sトラップ、Pトラップの径)と合わず、現場で取り付けられない。 急遽、特殊な変換アダプターが必要になり、部品代と追加工事費で高くついた上に、工期も遅れた。

「保管場所がない」

張り切って早めに注文しすぎて、キッチンセットのような巨大な荷物が、まだ床も貼れていない現場に届いてしまった。 職人の作業の邪魔になり、移動させている間に傷がついたり、部品を紛失したりする。現場監督から「邪魔なので持ち帰ってください」と怒られる。


最短の手順:後悔しないためのロードマップ

1. 小物に限定する

トイレットペーパーホルダー、タオルバー、鏡、ポスト、表札など、構造に関わらず、後から自分でドライバーでつけられる程度のものに留めます。 これならリスクは最小限で、個性を出せます。

2. 契約前に許可を取る

どうしても支給したいものがあるなら、請負契約を結ぶ に「これを支給したい」とリストを出して許可を取ります。 「支給品に対する取付費」がいくらかかるか見積もりを出してもらい、トータルコストで比較検討します。

3. 「型番指定」で交渉する

実はこれが一番賢い方法です。ネットで見つけた安い商品の「型番」を工務店に伝え、「これと同じものを、そちらのルートで仕入れてくれませんか?ネットの価格に近づけてもらえれば買います」と交渉します。 工務店の利益を少し乗せても、保証込みの安心感が買えるなら安いものです。


リンク集

  • サンワカンパニー(ミラタップ)
    「誰が買っても同価格」を掲げる建材メーカー。施主支給の定番だが、設置業者の手配は自分でする必要がある(工務店が嫌がるケースも多い)。