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シューズクローク|「靴以外のもの」で溢れかえる魔窟

Tue Dec 23 2025 00:00:00 GMT+0000 (Coordinated Universal Time)

シューズクロークは「巨大な下駄箱」ではない。「泥と臭いの隔離部屋」である。

「玄関には何も置きたくない」。 その美しい理想を叶えるために、シューズクローク(土間収納)は作られます。ベビーカー、ゴルフバッグ、キャンプ用品、子供の外遊び道具、そして大量の靴。すべてを飲み込んでくれる魔法の空間です。

しかし、計画なしに作ると、そこは「人が入れないほど物が詰め込まれた物置」になり、さらに「家の中で最も臭い場所」になります。

結論:ウォークスルー(通り抜け)型は通路スペースが無駄。よほど広くない限り、ウォークイン(行き止まり)型にして収納量を確保せよ。換気扇がないと激臭がこもる。

「家族はシューズクロークを通って家に入り、来客用玄関はいつもピカピカ」という動線(2way玄関)は、理想的ですが失敗しやすいパターンです。靴を脱いで、また履いて移動するのが面倒で、結局家族もメイン玄関を使ってしまうからです。

判断基準:その「通路」に坪単価を払う価値はあるか?

1. 動線の種類:通り抜けか、行き止まりか

  • ウォークスルー(2way) :通り抜けるための通路幅(約60cm〜)が必要なため、収納に使える壁面積が減ります。しかも、通り道に靴が脱ぎ捨てられ、結局通れなくなることが多いです。
  • ウォークイン(1way) :入り口が一つの「部屋」。壁3面を棚にできるため、収納力は最強です。通路がいらない分、コンパクトでも大容量です。こちらを推奨します。

2. 環境対策:臭いと湿気

  • 換気扇 :濡れた靴、泥のついた遊び道具、雨ガッパ。これらから発生する湿気と臭いは強烈です。小さな窓だけでは換気できません。必ず「排気用の換気扇」をつけてください。
  • コンセント :濡れた靴を乾かす靴乾燥機や、除湿機、電動自転車のバッテリー充電のために、コンセントは必須です。ナノイーなどの脱臭機をつけるのも効果的です。

3. 収納するものとサイズ

  • ベビーカー・三輪車 :これらを置く場合、棚の下にスペースを開ける必要があります。
  • キャンプ用品 :テントやクーラーボックスは奥行きがあります。靴用の棚(奥行き30cm)でははみ出します。一部を奥行き45cm以上にするなど、置くものに合わせた設計が必要です。

典型的な失敗:初心者がハマる落とし穴

  • 「暗くて見えない」
照明をケチって暗くすると、靴の汚れが見えず、黒と紺の靴の区別もつきません。荷物を持って入ることも多いので、人感センサー付きの明るい照明が必須です。
  • 「扉が邪魔」
開き戸をつけると、開けた時に玄関ホールを塞いでしまいます。引き戸にするか、ロールスクリーンで目隠しする程度が使いやすいです。
  • 「コート掛けがない」
冬場、濡れたコートを室内に持ち込まないために、パイプハンガーがあると便利ですが、忘れがちです。

最短の手順:後悔しないためのロードマップ

  1. 持ち物リスト作成 靴の足数だけでなく、外に置きたくないもの(ベビーカー、キックボード、防災グッズ、ダンボールゴミなど)を全て書き出してください。
  2. 動線シミュレーション 「帰宅して、靴を脱ぎ、コートを掛け、手を洗う」。この一連の動作の中に、無理なくシューズクロークが組み込まれているか確認します。遠回りになるなら使わなくなります。
  3. 換気扇の追加 図面に換気扇が入っていなければ、設計士にお願いして追加してもらいます。これはコストをかける価値があります。

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