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外壁:塗り壁・サイディング|「窯業系サイディング」のコーキング地獄

2025-12-25 14:43

日本の家の7割は「サイディング」だが、10年後に「コーキング」で泣く。

外壁選びは、家の外観(顔)を決めるだけでなく、将来のメンテナンス費を左右する重大な決断です。 多くのハウスメーカーが標準で提案してくるのは「窯業系(ようぎょうけい)サイディング」です。

結論:初期費用を抑えたいなら「窯業系サイディング」だが、10年ごとにコーキング(継ぎ目)の打ち替えで数十万円飛ぶ。長く住むなら、継ぎ目のない「塗り壁(ジョリパットなど)」か、コーキングレスの「シーリングレスサイディング」を選ぶべき。初期投資で将来のメンテ費を買う発想が大事。


判断基準:10年後の自分に「100万円」の請求書を送れるか?

1. サイディングの罠:目地(コーキング)

サイディングは板を貼り合わせていくので、必ず継ぎ目ができます。そこをゴムのような素材(コーキング/シーリング)で埋めます。 このゴムが、紫外線で劣化し、ひび割れたり痩せたりします。標準的なもので5〜10年、高耐久のものでも15年が寿命です。 打ち替えるには足場が必要なので、1回あたり数十万円〜100万円かかります。30年で3回やれば300万円です。

2. 塗り壁(左官仕上げ):美しさと耐久性

職人が手作業で塗る「塗り壁」は、継ぎ目がありません。

  • メリット :継ぎ目がないので、コーキングのメンテナンスが不要。質感が自然で高級感がある。汚れを高圧洗浄で落とせる。
  • デメリット :初期費用が高い。職人の腕に左右される。地震でひび割れ(クラック)が入るリスクがある(ただし、最近は弾性のある素材や下地で対策されている)。

3. 樹脂サイディング:隠れた最強素材

北米では標準的な「樹脂サイディング」。塩化ビニル樹脂でできています。

  • メリット :軽い、凍害に強い、 コーキング不要 (オープンジョイント工法)、塗装不要(色が練り込まれている)。
  • デメリット :日本での普及率が低く、選べる業者が少ない。見た目がプラスチックっぽく、好みが分かれる。

典型的な失敗:初心者がハマる落とし穴

「雨だれ」

窓のサッシの下から、黒い筋のような汚れ(雨だれ)がついている家をよく見ます。 これは空気中の汚れが雨で流され、外壁に付着するからです。 窓の下に「水切り」という部材をつけるか、汚れがつきにくい「光触媒塗装」や「親水性塗装」の外壁を選ぶことで軽減できます。

「ニセモノ感」

サイディングで「レンガ風」や「石積み風」のデザインを選ぶと、遠目は良いですが、近くで見るとプリント感(ニセモノ感)が否めません。 経年劣化すると、そのプリントが剥げたりして、さらに安っぽくなります。 サイディングを選ぶなら、無理に何かを模倣した柄ではなく、シンプルなプレーン柄の方が長持ちします。


最短の手順:後悔しないためのロードマップ

1. 30年コスト比較

初期費用(イニシャルコスト)だけで判断せず、30年間のメンテナンス費を含めた「ライフサイクルコスト」で比較します。 「初期費用+100万円」でも、メンテフリーの塗り壁の方がトータルでは安いことが多いです。

2. シーリングレス検討

どうしてもサイディングにするなら、ニチハの「フュージェ」のような、板同士を噛み合わせて継ぎ目を目立たなくする「シーリングレス(四方合いじゃくり)」商品を検討します。 これならコーキングの露出が最小限になり、メンテ周期が伸びます。

3. 軒の出を確保する

どんな外壁を選ぼうと、外壁を長持ちさせる一番の方法は 「軒(のき)を深くする」 ことです。 雨や紫外線を物理的に遮ることで、外壁の寿命は劇的に伸びます。軒ゼロ住宅はメンテナンス地獄への入り口です。


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