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スマートホームの始め方|ガジェットではなく「配線」で決まる未来の暮らし

2025-12-25 13:45

「アレクサ、電気を消して」 「行ってきますと言ったら、ルンバが動き出し、鍵が閉まる」

そんなSFのような生活が、今や数千円のデバイスで実現できる時代になりました。 しかし、新築やリノベーションでスマートホーム化を目指すなら、Amazonで後付けガジェットを買い集める前に、やるべきことがあります。

それは 「配線計画」 です。 スマートホームの成否は、ガジェットの性能ではなく、壁の中の電気配線で9割決まります。

この記事では、後からでは取り返しのつかない、 「IoT住宅のインフラ作り」 について解説します。

結論:スマートホームは「中性線」と「空配管」である

まず結論です。 SwitchBotのような「既存のスイッチを物理的に押すロボット」は、賃貸住宅向けのソリューションです。 持ち家なら、 壁のスイッチそのものをスマート化 すべきです。

そのためには、以下の2つが絶対に必要です。

  1. 中性線(ニュートラル線) :壁のスイッチボックス内に引き込んでおく。
  2. 空配管(CD管):将来のLANケーブル交換用パイプを通しておく。

これさえあれば、将来どんな規格(Matterなど)が主流になっても対応できます。


なぜ「中性線」が必要なのか?

日本の一般的なスイッチ配線は、電気が流れる片側の線しか来ていません。これでは、スイッチがOFFの時は電気が遮断されるため、スマートスイッチ自体も電源が落ちてしまい、Wi-Fiで操作できなくなります。

これを解決するために必要なのが 「中性線(N線)」 です。 これがあれば、照明がOFFの状態でもスマートスイッチ本体に常時給電できるため、安定した動作が可能になります。 海外製の高性能なスマートスイッチ(AqaraやLutronなど)の多くは、この中性線が必須です。 工事費は1箇所あたり数百円〜数千円のアップで済みますが、 「壁を貼ってから」では追加できません。


3大「隠しコンセント」計画

スマートホーム機器をスッキリ設置するために、以下の場所にコンセントを用意しましょう。

1. カーテンボックス内(電動カーテン用)

「朝、太陽の光で目覚めたい」。 電動カーテンはQOL爆上がりアイテムですが、充電式のモーターは数ヶ月ごとの充電が面倒で使わなくなります。 窓の上(カーテンボックス内)にコンセントがあれば、AC電源タイプが使え、メンテナンスフリーになります。

2. 玄関ドア付近(スマートロック用)

スマートロック(QrioやSesameなど)は電池式が主流ですが、これを操作するための「ハブ」や、見守りカメラを設置するために、玄関ドアの近くにコンセントが必要です。 理想は、ドア自体を 「電気錠(AC100V直結)」 にすることです。電池切れの心配がなく、反応速度も爆速です。

3. クローゼットや廊下の天井(Wi-Fi AP用)

Wi-Fiルーターをテレビの裏に押し込んでいませんか? スマートホーム機器が増えると、接続台数が50台、100台と増え、ルーターが悲鳴を上げます。 業務用の 「天井設置型アクセスポイント(AP)」 を廊下の天井などに設置すれば、家中どこでも爆速で、インテリアも邪魔しません。そのためのLAN配線と電源を天井に用意してください。


よくある失敗:物理スイッチの反乱

「スマート電球(Philips Hueなど)」を導入した家でよくある悲劇。 それは、 「家族が壁の物理スイッチで電気を消してしまう」 ことです。 元電源が切れてしまうと、アプリからも音声からも操作不能になります。

これを防ぐには、以下の対策が必要です。

  • 物理スイッチを隠す:カバーをして押せなくし、横にワイヤレスボタンを貼る(見た目は悪い)。
  • スマートスイッチ化する:壁のスイッチ自体をスマート化すれば、押しても通電状態を維持しつつ消灯信号を送る設定ができます(これが正解)。

導入へのチェックリスト

  • 電気打ち合わせ:「すべてのスイッチボックスに中性線を入れてください」と電気工事士に依頼しましたか?
  • LAN配線:Wi-Fiが届きにくい書斎や寝室、AP設置予定の天井に、空配管(CD管)を通しましたか?
  • ドア:玄関ドアは「電気錠」仕様を選びましたか?(後付けスマートロックより圧倒的に快適です)

リンク集:判断のための材料

1. 基礎知識

2. デバイス・システム

  • SwitchBot:日本で最も普及している後付けIoTデバイス。
  • Philips Hue:スマート照明のパイオニア。
  • LIXIL Life Assist 2:建材メーカー純正のIoTシステム(電動シャッター等の連携に強い)。