太陽光発電・蓄電池|「元が取れる」計算には「廃棄コスト」が含まれていない
Tue Dec 23 2025 00:00:00 GMT+0000 (Coordinated Universal Time)
太陽光パネルは「屋根に乗せる発電所」であり、あなたは「所長」になる。
「屋根に乗せれば毎月売電収入が入る」「電気代がタダになる」。 かつては投資商品として優秀だった太陽光発電ですが、FIT(固定価格買取制度)の売電価格が下落した今、その役割は「投資」から「防衛」へと変わりました。
電気代が高騰する中、買う電気を減らす(自家消費する)意味では有効ですが、導入シミュレーションには「将来必ず発生するコスト」が含まれていないことが多いです。
結論:売電収入で儲ける時代は終わった。「災害対策」と「電気代高騰対策」としては優秀だが、パワコン交換と廃棄費用の積立を忘れると、トータルでは赤字になる。
屋根に穴を開けてパネルを設置する以上、雨漏りリスクを負い、メンテナンス責任(事業計画認定)を持つことになります。「乗せれば終わり」ではありません。
判断基準:あなたの屋根は「発電」に向いているか?
1. 屋根の条件
- 向きと形状 :南向きの片流れ屋根がベストです。北面に設置するのは、発電効率が悪いうえに、反射光が近隣の家の窓に入り込む「光害トラブル」の原因になるため、絶対にNGです。
- 影 :隣に高いマンションがある、大きな木がある、電柱の影がかかる。少しでも影がかかると、発電量はガクンと落ちます。シミュレーションでは影の影響まで考慮していないことが多いので注意が必要です。
2. 見えないランニングコスト
- パワコン交換 :電気を直流から交流に変換するパワーコンディショナーは、10年〜15年で寿命を迎えます。交換費用は20万〜30万円。これを積み立てておく必要があります。
- 蓄電池の寿命 :蓄電池はスマホのバッテリーと同じで、充放電を繰り返すと劣化します。10〜15年後には容量が減り、交換が必要になりますが、現在の価格は100万円以上と高額です。
3. 出口戦略(廃棄問題)
- 撤去・処分費 :家の解体時や、パネルの寿命(20〜30年)が来た時、撤去して処分する費用がかかります。パネルには有害物質が含まれる場合があり、将来的に処分費が高騰するリスクがあります。数十万円のコストを見込んでおくべきです。
典型的な失敗:初心者がハマる落とし穴
- 「0円設置の罠」
「初期費用0円で設置できます」というPPAモデル(屋根貸し)。確かに無料ですが、10年〜15年は契約に縛られ、その間は発電した電気を自由に使えない(または安く買うだけ)ことになります。契約解除時の違約金も高額です。
- 「屋根保証が切れる」
新築時にハウスメーカー経由で設置せず、後から安い業者で設置した場合、屋根の防水保証が打ち切られることがあります。雨漏りした時に誰も責任を取ってくれません。
最短の手順:後悔しないためのロードマップ
- 相見積もりをとる 訪問販売の営業マンからは絶対に買わないでください。相場より高いことがほとんどです。ネットの一括見積もり等を利用し、適正価格(1kWあたり25万円以下など)を知りましょう。
- 屋根保証の確認 「後付けでも屋根の保証は継続されるか?」をハウスメーカーに文書で確認してください。
- シミュレーションの辛口化 業者が持ってくるシミュレーションは「晴天率が良い」「劣化しない」前提の甘い数字です。発電量を8掛け、自家消費率を厳しめに見積もって、それでもメリットが出るか計算してください。